園子温が提示する'10年代の映画の在り方 [映画]
1980年代にテレビ局が映画の旨みに触手を伸ばして以来、話題作はテレビ局が製作する作品ばかりになってしまった。
とはいえ興収を上げるためにテレビ局が宣伝に精を出すから話題になるだけで、肝心の内容なんて二の次。
製作者サイド=テレビ局…としては、客が来て儲かれば、それで十分なのだ。
そもそもテレビ局の作る映画なんて将来オンエアすることが前提だから、放送コード以上の過激な描写なんてハナから期待できない代物に過ぎない。
一口に「映画」と言っても表現の可能性は360度といってもいいほど幅が広い。
0度に位置する前衛芸術映画と360度に位置するピンク映画が、ヌードが出てくるという1点だけで紙一重のように。
ところが現在ではテレビ局が製作した作品がスクリーンを席巻することにより、映画表現の可能性が“テレビ”という枠の中に押し込められてしまう残念な事態に陥っているのだ。
ノーパンツ・ガールズ Movie Box-ing2 [DVD]
- 出版社/メーカー: エムスリイエンタテインメント
- メディア: DVD
そうした潮流に抗い溯上するかのように、園子温監督の作品は“テレビ局映画”とは決して相容れない世界観で満ち溢れている。
その実験的な映像表現や作品に込めた社会的なメッセージ性は、ここに挙げたDVDと「こち亀」や「怪物くん」を見比べれてみれば一目瞭然。
とはいえ、映画の好みなんて所詮は人それぞれ。
テレビ局が作ろうが、そうじゃなかろうが、見る側の嗜好に合わなければそれまで。
要は将来「テレビ局映画=日本映画」という状態が支配的になり、「テレビ局映画以外は映画に非ず」という憂うべき事態に陥ることを危惧しているのだ。
「こち亀」見たら「愛のむきだし」も見て、「怪物くん」を見たら「冷たい熱帯魚」も見る。
そうやって精神的な均衡を図っていくのが理想的な“映画の活用法”と言えるのではないか?
その点で、一般的なマスメディアが積極的に取り上げないような作品を紹介するには、ネットというメディアは打って付けとも言える。
このブログでも積極的にジャカスカ紹介していきたいものだ。
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